皆さん、こんにちは!けーじと申します!個人的に大きな目標としていた統計検定1級に合格することができたので、勉強方法などをつづってい行きたいと思います。
1. バックグラウンド
私は理系の大学院(化学系)を修了後、メーカーの研究職として3年間勤務し、その後ITエンジニアに転身して2年間経験を積んできました。異分野を経験してきた私が、なぜ統計検定1級に挑戦することになったのか?それは、近年注目を集めているデータサイエンスの分野に強い興味を持つようになったことがきっかけです。
データに基づいた意思決定の重要性がますます高まる現代において、統計学は必要不可欠なツールです。ITエンジニアとして働く中で、データ分析のスキルを向上させたいと考えるようになり、そのために統計検定の受験を決意しました。
学生時代は理系でしたが数学とは縁遠い分野でした。そのため統計の知識はこれまで受験してきた統計検定の知識がベースになっています。
- 2022年6月頃:統計検定2級 合格 (7割くらい)
- 2023年6月頃:準1級 合格 (6割くらい)
- 2023年11月:1級 不合格 (統計数理 不合格、統計応用(理工学) 不合格)
- 2024年11月:1級 合格 (統計数理 合格、統計応用(理工学) 合格)
今回は私がこれまでの学習を通して得た知識や経験、を共有することで、これから統計検定1級を目指す方々にとって、少しでも有益な情報を提供できればと考えています。
2. 学習方法
私が統計検定1級合格に向けてどのような学習を行ったのか、具体的な方法や使用教材、学習時間などを詳しくご紹介します。
使用した教材:厳選した教材で集中的に学習
巷には数多くの統計学の参考書や問題集がありますが、私は「いろいろな教材に手を出さない」という方針を立てました。2023年に受験したときは、公式の過去問を古書店で古い年のものもそろえて広く対策をしていました。しかし、浅い理解のまま本番に臨むことになり、合格には至らなかったと考えています。そのため今回は以下の教材2点で勝負しようと決めました。
- 現代数理統計学の基礎(久保川達也・丸山美紀 著): 統計検定1級の受験者にとって、もはやバイブルと言っても過言ではない名著です。数理統計学の基礎を網羅的に学ぶことができ、試験範囲の大部分をカバーしています。この本を徹底的に理解することを最優先課題としました。
- 統計検定1級 過去問(2019年〜2023年): 過去問演習は、試験対策において最も重要な要素の一つです。私は2019年から2023年までの過去問を入手し、繰り返し解くことで出題傾向や頻出分野を把握するように努めました。
教材は実際に手に取って自分と相性がよさそうなものを選ぶのがよいと思います。感覚ですが試験会場を見渡すと、現代数理統計学の基礎(竹村彰通 著)、統計学実践ワークブック(日本統計学会 準1級の公式)、統計学(日本統計学会 1級の公式)のといった書籍を参考にしていた方も多かったです。
学習期間と時間配分
2024年の受験に向けて、私が本格的に学習に取り組み始めたのは3月頃からです。(2023年の受験後はあまり統計に触れられていませんでした)
- 平日の学習時間: 平日は仕事があるため、1日あたり1〜2時間の学習時間を確保するように意識していました。しかし、仕事の状況によっては確保できない日もありました。重要なのは、毎日少しでも良いので継続することだと考え、無理のない範囲で学習を続けました。
- 休日の学習時間: 休日はまとまった時間が取れるため、1日あたり4時間の学習時間を目標にしていました。こちらも、予定が入ったり体調が優れなかったりする日もあったため、常に目標通りにできたわけではありません。
10月の中旬くらいまでは現代数理統計学の基礎の理解のみを行いました。それもすべてではなく、演習問題が付属している8章までを読むようにしていました。演習問題(*印のないもの)はすべて理解できるまで繰り返し解きました。優しい問題は一度解けばよいと思いますが、難しい問題は1週間、1か月たったら再度見直して解けるような状態を維持するようにしました。この演習問題は過去問と比較してもそん色ない(あるいはそれ以上)問題が多いため、これらの問題をつぶしておけば、楽に解ける過去問も多いと思います。
過去問は試験の傾向に慣れるために触っていました。解けなかった問題は最終的に解きなおすようにしていましたが、諦めた問題もいくつかありました。(行列があると諦めがちでした…)仮にわからない問題があっても2問までは選択しなければよい、と割り切ってしまい深く考えないようにしていました。
3. 試験当日の状況
試験当日の様子、試験会場の雰囲気、試験中の時間配分や解答の手順など、具体的な状況を振り返ります。
試験会場の雰囲気
試験会場は東京にある大学でした。大学の教室に入るのは久しぶりで、まさに「受験」という雰囲気。学生時代に戻ったような、少し懐かしい感覚を覚えました。教室には30人くらいの受験生がいて、それぞれ試験開始までの時間を静かに過ごしていました。
二度目ということもあり試験前は、特に緊張することもなく、平常心で臨むことを意識していました。これまでの学習の成果を出し切るだけだと考え、落ち着いて試験開始を待ちました。(一度目もあまり緊張しませんでしたが…。)
試験中の時間配分と解答の手順
試験は午前中に統計数理、午後に統計応用(選択式で「理工学」を選択)の順で行われます。各試験時間は90分です。5問から3問選択して解答していきます。解答用紙はルーズリーフのような横の罫線しかない状態で配布されます。ネット上で罫線が濃すぎて気になるという意見もありますが、私はあまり気になりませんでした。(原稿用紙よりは濃いかな?くらいです)
統計数理
統計数理では、以下のような手順で解答を進めました。
- 問5: 問題全体をざっと見渡したところ、問5が見たことがある問題に似ており、比較的解きやすそうだと判断しました。そのため、まず問5から着手することにしました。調子よく解き進めることができましたが、最後の小問[5]だけは少し不安が残る状態でした。しかし、ここで時間を使いすぎるのは得策ではないと考え、早めに切り上げて他の問題にあたることにしました。(20分くらい)
- 問3: 次に問3に取り組みました。解法自体は頭の中にあり、その通りに進めていたのですが、途中で複雑すぎる2次方程式にぶつかってしまい、どこかで計算を間違えているのではないかと感じました。それでも、何とか強引に解答だけは出しておいて、一旦保留とし、他の問題に着手することにしました。(30分くらい)
- 問1: 最後に問1に取り組みました。最初に問題の前提を読み間違えていたことに気づき、一瞬焦りましたが、何とか修正して解答を埋めることができました。(30分くらい、残りは見直し)
- 全体的な手応え: 統計数理全体を通して、体感的には7割くらい正解していれば良いというくらいの感触でした。完璧とは言えないまでも、ある程度の手応えは感じていました。
統計応用(理工学)
午後の統計応用(理工学)では、以下のように解答を進めました。
- 問5:問5は疑似相関に関する問題のようで簡単かもしれないと思い、まず着手しました。特に詰まることなく解き進めることができましたが、最後の決定係数の計算だけは若干怪しいかもしれないと感じました。(20分くらい)
- 問1: 問1の問題文を読んだところ、分散分析表が出てきたら解こうと考えていたため、迷わず問1に着手しました。小問[4]の計算に若干苦労しましたが、最後まで回答を埋めることができました。(35分くらい)
- 問2:最後に問2に取り組みましたが、なんと前提を読み違えたまま15分ほど解き進めていたことに途中で気づき、大慌てで修正することになりました。小問[1]は何とか解くことができましたが、[2]にはあまり着手できないまま試験終了時間となってしまいました。(35分くらい)
試験全体を通しての感想
試験全体を通して、問題の難易度自体は例年通りだと感じました。しかし、統計数理の問1と統計応用の問2で発生した読み違えなどの早とちりは、非常に悔やまれました。これらのミスがなければ、もう少し良い結果になったのではないかと感じています。
それでも、まったくもって希望がないというわけではなさそうなので、ある程度納得のいく出来ではありました。少なくとも、去年の自分よりは成長できた、実力は確実に向上していると感じることができました。
4. 試験結果と分析
試験の結果ですが、統計数理、統計応用ともに、なんと合格することができました!成績優秀者として名前が掲載されることはなかったので、おそらくギリギリの合格だったのかもしれません。それでも、去年の不合格という悔しい思いを晴らすことができ、本当に嬉しかったです。努力が報われた瞬間でした。
今回の合格には、いくつかの要因があったと考えています。 演習問題を繰り返し解いていたことで、試験本番で「見たことがある」と感じる問題がいくつかありました。これらの問題を確実に得点できたことが、合格に大きく貢献したと思います。過去問演習の重要性を改めて実感しました。
また、学習方法のセクションでも触れましたが、教材を「現代数理統計学の基礎」と過去問に絞り込んだことが、結果的に良かったと感じています。多くの情報に惑わされることなく、基礎をしっかりと固めることができたのが合格につながった要因の一つだと思います。
今回の試験で反省すべき点は、やはり問題文の読み間違いです。試験当日を振り返ると、いくつかの問題で前提条件を読み違えてしまい、解答に時間をロスしたり、最悪の場合不正解につながってしまった可能性があります。特に、計算を進めていく中で何らかの違和感を覚えた場合は、一度立ち止まって問題文を再度確認するということを徹底するべきだったと反省しています。
5. 今後の展望
統計検定1級に合格したことで、高度な統計知識を身につけることができました。しかし、知識として知っているだけで、実践で使えないのは非常にもったいないと考えています。日々の仕事におけるデータ分析業務に活かしたり、データ分析コンペにも積極的に参加して活用のチャンスをうかがいたいと思っています。資格だけでなく、実績という面でも充実させていきたいと考えています。
6. 読者へのアドバイス
これから統計検定1級を目指す皆さんに向けて、私自身の経験を踏まえたアドバイスを送りたいと思います。
これから統計検定1級を目指す人へのメッセージ:地道な努力は必ず報われる
私自身、過去に一度不合格を経験しており、統計検定1級が簡単な試験ではないことは身をもって知っています。学習を始めたばかりの頃は、「こんなの本当に受かるのだろうか?」と不安に思うこともあるかもしれません。私もそうでした。しかし、諦めずに地道に理解を重ねていくことで、必ず目標を達成できるはずです。焦らず、着実にステップアップしていくことを心掛けてください。
効果的な学習方法、試験対策のヒント:信頼できる一冊を徹底的に
統計検定1級は受験者数が比較的少ないためか、インターネット上には他の資格試験ほど多くの情報がありません。そのため、多くの受験者は何らかの書籍を参考に学習を進めていると思います。学習方法のところでも記載しましたが、多くの受験者が参考にしていると思われる書籍の中から、自分に合った一冊を選び、それを繰り返し学習することをお勧めします。
モチベーション維持のコツ:時にはリフレッシュも大切
統計検定1級はその難易度の高さから、対策が長丁場になることが予想されます。学習期間中はどうしても気が乗らない時や、集中力が続かない時もあるでしょう。私もそうでした。そんな時は、あまり深く考えすぎず、思い切ってリフレッシュすることも大切です。
おわりに
それなりの覚悟が求められる試験でしたが、今後受験される方に参考になれば幸いです。私自身も勉強を進める中でネット上に情報が少ないように感じていましたので、お役に立てる情報が発信できればと考えています。挑戦される方の合格を心から応援しています!
モチベーション維持として演習問題を解いたコピー用紙をためていました。振り返ってみるとかなり積み上げてこれたなと自分ながら感心していました。
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